アスベストを含む建物を取り壊す際は、有害物質の飛散によるリスクを最小限に抑えるため、専門の解体業者へ依頼する必要があります。
しかしアスベスト解体の費用は、一般的な解体に比べ手続きや作業が多岐に渡るため、業者や建物によって費用感もさまざまです。
ここではそんなアスベスト解体工事における目安となる費用について、栃木で解体サービスを提供している株式会社Oslinkがご紹介します。
またアスベスト解体工事を行う際の流れや、解体業者へ依頼する際の注意点についても併せてご紹介します。
ここで解説している家のアスベスト解体工事のこと
・アスベスト解体におけるレベル別の費用 ・使える補助金について ・アスベスト解体工事の基本的な流れ ・アスベスト解体を依頼する際の注意点 |
アスベスト解体の費用
アスベスト解体工事の費用は、解体する建物に含まれるアスベストから生じる、粉じんの発生しやすさ(発じん性)に応じ、決定されるケースが一般的。
発じん性は、アスベストが粉じんとなり空気中に飛散し、人が吸い込むことで体に害を及ぼすリスクを指し、発じん性が高いほど飛散しやすく、解体時の対策も厳重に行う必要があります。
またアスベストの発じん性は、飛散の度合いに応じレベル1(非常に高い)からレベル2(高い)、レベル3(比較的低い)の3つに分類され、レベルに応じた飛散防止対策が求められます。
さらにアスベスト解体工事には、解体作業だけではなく、アスベスト調査(作業前)や現場の安全を確認するための検査・クリーニング(作業後)も必要です。
このようにアスベスト解体工事の費用は、建物の規模や解体の難易度だけではなく、発じん性やアスベストレベル、作業に付随して発生する調査・検査・クリーニングなど、さまざまな要素に基づき、具体的に算出されていきます。
平均的な注文住宅である、30坪(約100㎡)の家のアスベスト解体を例にする場合、最低でも150万円以上の費用がかかるケースが一般的です。
解体費用の目安(アスベストレベル別)
各アスベストレベルにおいて、対象となる主な建材や1㎡あたりの費用目安は以下の通りです。
アスベストレベル | 主な建材 | 解体費用の目安 |
レベル1(非常に高い) | 吹付け材 | 15,000円 ~ 85,000円 |
レベル2(高い) | 保温材、耐火被覆材、断熱材 | 10,000円 ~ 60,000円 |
レベル3(比較的低い) | 成形板 | 3,000円 ~ 5,000円 |
解体を依頼する際は、建物に使用されている建材やアスベストの種類、発じん性などを前提として、必要となる作業に応じた見積もりをもらうことが重要です。
レベル1
レベル1は、アスベストの中で最も発じん性が高いカテゴリーです。
このレベルに該当するのは、主にアスベスト含有吹付け材で、非常に飛散しやすい性質を持っています。
吹付け材は、建物の梁や柱に耐火被覆として使用されることが多く、特に鉄筋コンクリート構造のビルや学校の柱、エレベーター周りなどで見られます。
これらは発じん性が非常に高いため、解体作業員は防じんマスクや保護衣を着用し、作業場所を密閉して作業する必要があります。
レベル2
レベル2は、中程度の発じん性を持つアスベストが対象です。
このレベルに該当する主な建材は、配管やボイラー、空調ダクトなどに使用されている、アスベスト含有保温材や断熱材、耐火被覆材です。
これらの建材は比較的飛散しやすい性質を持っており、レベル1と同様に隔離作業が必要で、飛散防止のための厳重な対策を講じることが求められます。
特に工場やオフィスビルなどの大規模な施設で、レベル2のアスベストが使用される場合が多い傾向にあります。
レベル3
レベル3は、発じん性が比較的低いアスベストが該当します。
このレベルに分類されるのは、主に成形板やスレート板など、アスベストを含む固形建材で、住宅の屋根や壁、天井に使用されることが多く、通常の使用では飛散するリスクが低い傾向にあります。
ただし解体や改修時に切断や穴あけを行う際には、粉じんが発生する可能性があるため、作業中に水をかけて粉じんを抑える湿式作業が必要です。
またレベル3のアスベストは、一般的に住宅や小規模な建物で主に使われていて、解体費用は他に比べると比較的安価に済む傾向にあります。
アスベスト解体の工法
アスベスト解体は、主に5つの工法が挙げられます。それぞれの特徴は次の通りです。
工法名 | 特徴 |
除去工法 | アスベストが含まれる吹き付け材を下地から取り除いていく方法 |
封じ込め工法 | アスベストを薬剤で固着させ、飛散を防ぐ方法 |
囲い込み工法 | アスベストを完全に覆い、飛散や損傷を防止する方法 |
剥離工法 | 剥離剤を使い、アスベスト含有の仕上塗材を軟化させて剥がし取る方法 |
ウォータージェット工法 | 超高圧水を噴射してアスベスト含有塗材を除去する方法 |
また上記5種類の工法は、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあり、現場ごとに使い分けられています。
工法名 | メリット | デメリット |
除去工法 | アスベストの取り残しにくく、安全性が最も高い | 作業時間がかかり、費用が高い |
封じ込め工法 | 作業時間が短く、費用が比較的安 | アスベストが残る可能性があるため、施工後にも定期的な点検が必要で解体時には除去作業 |
囲い込み工法 | 短期間で作業が可能なため、費用が安い | 施工後にも定期的な点検が必要で、天井が低くなる可能性がある |
剥離工法 | 飛散リスクが少なく、家にダメージが少ない | 作業時間が長く、アスベストが残る可能性がある |
ウォータージェット工法 | 飛散リスクが少なく、施工能率も高い | 廃水処理が必要なため水が飛び散るリスクがあり、費用が比較的高い |
アスベスト解体に使える補助金制度
上記でご紹介した通り、アスベスト解体は特別な作業が必要で費用が高額になる傾向にあります。
しかしアスベスト解体にかかる調査や工事費用の一部を、国や地方自治体が補助してくれる制度を利用できる場合があります。
補助金の内容や申請手続きは地域によって異なるため、解体を検討する際には、事前に国や地方自治体のWebサイトや担当窓口に確認することが重要です。
アスベスト解体工事の流れ
アスベスト解体工事は、上記でも触れたように一般的な建物解体に比べ危険性を伴うため、専門の解体業者に依頼して行うことが原則です。
ここではアスベスト解体工事における、基本的な流れをご紹介します。
調査・診断
建物にアスベストが含まれているかどうかを専門の解体業者に調査してもらいます。
アスベスト含有建材が発見された場合、その範囲や状況を正確に把握するため、より詳しい調査が行われます。
その後、調査結果をもとにして、具体的な建物の解体方法や費用が見積もられます。
工事計画・各種届出
アスベスト解体工事を行う前には、調査結果をもとに作成した工事計画と行政に対して所定の届出を行い、許可を得ることが義務付けられています。
この届出は、工事が法令に則って行われることを確認するために重要な項目です。
アスベスト除去作業
アスベスト除去作業は、専用の防護服を着用した作業員が行い、周囲にアスベスト繊維が飛散しないよう厳重に管理された環境下で進められます。
具体的には、作業現場を密閉し負圧環境(建物内部の気圧が低くなっている状態)を作り出すことで、空気中へのアスベスト繊維の漏出を防ぎます。
さらにアスベスト解体工事には、除去工法・封じ込め工法・囲い込み工法・剥離工法・ウォータージェット工法の5つの工法があり、状況に応じて最適な工法が選択されます。
そしてそれらの工法によって除去されたアスベストは、飛散に注意しながら廃棄され、作業終了後も安全を確保するために、厳密に管理されます。
検査・クリーニング
上記の流れでアスベスト除去が完了した後は、現場が完全に安全であることを確認するために、空気中のアスベスト濃度を検査します。
この検査で安全が確認され次第、クリーニングを行い建物解体やリフォーム作業が開始されます。
アスベスト解体を依頼する際の注意点
アスベスト解体工事を依頼する際は、人体へのリスクを最小限に抑え、適切に処理してもらえるよう、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。
ここでは解体業者へ依頼する際、注意すべきポイントを4つに絞り、ご紹介します。
専門業者に作業を依頼する
1つ目の注意点は、アスベスト解体を専門的に扱える解体業者に依頼することです。
無許可の業者へ依頼してしまうと、住民や周辺への健康被害を誘発してしまったり、法的なリスクが高まる可能性があります。
そもそも解体したい建物がどの程度のアスベストレベルにあるのか、どの程度リスクがあるのかなどを、専門的な視点から事前に調査してもらうことも重要です。
安全対策が徹底されているか
アスベスト解体工事は、周囲の住民や作業員の安全を確保するために、徹底した安全対策が求められます。
具体的な内容はアスベストレベルなどにもよりますが、解体現場が密閉されているか、作業員が適切な防護服を着用しているか、周辺へのアスベスト飛散防止措置が講じられているかなど、具体的な安全対策について事前に確認しましょう。
適切に廃棄・処理してもらえるか
アスベスト廃棄物は、都道府県知事もしくは廃棄物処理法の政令市の市長に許可を受けた最終処分場で行うなど、一般廃棄物とは異なる処理が必要です。
またアスベストを含む廃棄物は厳重に密閉された袋や容器に保管し、指定された処理施設で廃棄することが義務付けられています。
そのため、そうしたアスベスト解体における懸念点を解消できるような、解体業者へ依頼する必要があります。
周辺住民に配慮して進めてもらえるか
実際の解体作業前には、近隣住民に対してアスベスト除去などの作業が行われることを通知することが重要です。
こうした周辺住民への配慮の有無を確認しておくことで、住民の理解を得やすくなり、万が一のトラブルを事前に回避できます。
アスベスト解体の費用に関するまとめ
アスベストの種類や発じん性のレベル、作業面積や環境によって大きく異なります。例えば30坪(約100㎡)の家のアスベスト解体の場合、150万円以上が一般的です。
国や地方自治体が費用の一部を補助する制度があります。補助金は調査費用や除去費用に対して適用されることが多く、申請手続きや補助内容は国や地域ごとに異なります。事前に国や自治体のWebサイトや担当窓口で確認することが重要です。
①調査・診断
②工事計画・各種届出
③アスベスト除去作業
④検査・クリーニング
上記がアスベスト解体における基本的な流れです。
アスベスト解体は認定された専門業者に依頼し、安全対策が徹底されているか確認することが重要です。廃棄処理は厳格に行い、近隣住民への通知も忘れず、トラブルを防ぎましょう。
栃木県で解体サービスを提供する株式会社Oslinkでは、アスベスト解体工事においても、建物の構造や状況に応じた最適な工法を提案し、安全かつ適正な施工を徹底しています。
アスベスト除去や解体、そして産業廃棄物の処理まで一貫して対応しておりますので、解体工事のご相談や無料見積もりは、お気軽にお問い合わせください。